シム 中堅企業の経理マン

関西の中堅企業に15年ほど財務部で勤務/準富裕層/30代/資格 英検準1級/TOEIC805点/簿記2級/FP2級/FASS検定Aランク /ビジネス会計検定2級/貿易実務検定B級/中小企業診断士検定勉強中(7科目中5 サイドFIREしたい!

マルクス・アウレリウス「自省録」

岩波文庫から出ている、マルクス・アウレリウス「自省録」という本がある。

私が大学生か、就職してから読んだ本で、アウレリウスの力強い言葉に影響を受けた。

気に入った文章を蛍光ペンで何度も塗っていき、すっかり文庫本はボロボロになってしまったが、今でも本棚に置いてある。

 

ちょっと前までは、所謂「知る人ぞ知る名作」だったのだが、

某プロボクサーが愛読していることから人気が出始めて、最近はすっかりメジャーになってしまった。少し複雑な感はあるが、やはり多くの人に読んでもらえるのはうれしいと、思う。

 

アウレリウスはローマ帝国が最大領土となる時代に支配した、五賢帝時代の最後の1人である。

自省録は、アウレリウスが自ら出陣して、蛮族との前線で戦場に出ていたころに、自分自身に言い聞かせるように記録した言葉が編集されて世に出たものだ。

 

アウレリウスが生きた時代は、ハドリアヌスの治世を経て最大領土となった盤石な時代とは異なり、領土のいたるところで蛮族侵入が始まっており、少しずつ帝国にもほころびが出始めたころである。

 

アウレリウスが即位したのはそんな帝国の危機を迎えたころ。

ローマ領土を超えて侵入してくる蛮族と戦い、最後はローマから遠い戦場の中で亡くなった。

自省録を読むと、皇帝としての責務を全うすべく己を厳しく律するアウレリウスと、

戦争は悲しく寂しいものだと思うアウレリウスが出てくる。

 

世界の覇者となったローマの皇帝にも、悩みは尽きなかった。

蛮族の対処、家族の問題、権力闘争など・・。だからこそ読者はアウレリウスに自分を重ね合わせて、思いを共有するのだろう。

 

時代が変わっても、国が違えど、悩みはどこか似ている。

だからこそ、紀元前の皇帝の言葉が重く響いてくるのだ。